「はじめてのフランス料理」のレシピでもある、南仏プロヴァンスの家庭料理「ドーブ・プロヴァンサル」。
ワインでマリネしたかたまり牛すね肉をじっくり2時間30分蒸し煮した料理です。
この味わいは、ワインがすすむこの上ない幸せな気分になるほど。
時間はかかるが、コツさえつかめば誰でも失敗なく作れるフランス家庭料理です。
今日はそのフランスらしさとプロヴァンスらしい味わいを学んでみましょう。
目次
ドーブとは
南仏プロヴァンスの家庭料理ドーブ(Daube)とは、蓋を密閉して蒸し煮した料理。
本場ではドーブ専用の鍋、ドーブ鍋があり、
蓋のくぼみがありそこに水を入れて火にかける。
鍋の中で上がった蒸気が冷やされ、鍋に戻ると言う循環で蒸されるもの。
いずれにせよドーブの基本は、鍋の中で長く蒸している状態で煮込むこと。
煮汁を沸騰させずに長く蒸し煮することがコツ。
私はいつも使っている銅鍋(密閉性のいい鍋なら大丈夫です。)で、
150℃くらいの低温オーブンに入れっぱなしにしておく方法が定着。
焦げる心配もなく味は凝縮し、肉は溶ろけるよう柔らかくできます。
また、地方、季節によって、牛肉、羊肉、鶏、タコといろいろあるそうで、
肉の場合、煮込むワインでマリネし風味付けしてから蒸し煮のが、ドーブの基本です。
煮込みの極意
ドーブは一般に牛肉、硬く煮込み時間がかかる部位が使われます。
私はすね肉をを使います。
煮込みの極意、肉の場合、コラーゲンで接続されている肉の繊維、
このコラーゲンの形を変えることで、やわらかく食べれるようになる。
コラーゲンが強くない鶏肉はやわらかくなるのが早く、
コラーゲンが強い堅い牛すねなどは、時間がかかる訳です。
ドーブの調理法は、ゆっくり堅い肉を調理するのにもってこい。
肉は大きく切ることもおいしさのコツです。
オリーブたっぷり、プロヴァンス風煮込みって!
メニューにプロヴァンス風とつくと、
「オリーブ」「にんにく」「トマト」「ハーブ」や「果物」等が入ります。
これら南仏プロヴァンス、暖かい気候が産み出した特産物が料理の個性をもたらすのが特長。
その中でも「オリーブ」。
フランスの古典料理に「鴨オリーブ蒸し」Canard Brase aux Olives
がよく知られていますが、オリーブの実に含まれるオイルの力と相まって、
料理の風味を豊かにした味わいは味に個性をもたらせる働きをします。
ところでこのオリーブ、長く煮てしまうとオリーブの塩味が煮汁に移ってしまい、
食感もやわらかくなくなってしまいます。
私は、後からこちらドーブ・プロヴァンサルでは、仕上げの10分前に加えています。
また今回のドーブ・プロヴァンサルでは果物に恵まれているプロヴァンスらしく産物の風味
オレンジの皮が入るところも特長です。
煮汁がソース そのおいしさのコツ
フランス料理では煮込んで旨味の出た煮汁はソースとして皿に盛られ(又は添えられ)
そのおいしさが料理の価値にも。
長時間煮込む牛肉煮込みなどは煮込んでいる間に旨味が溶け出さないよう、
最初に肉の表面を焼き固めること(セジールSaisir)が大切。
ここでしっかり焼くことによって煮あがった時の煮汁=ソースの色、
風味がおいしくなります。大きく切った肉は強火で表面をしっかりと焼くこと、大切です。
そして、煮込みは味を凝縮させること。ソース味わいの差は歴然です。
ドーブのよう長く時間かけて蒸し煮する料理は、ソースもおいしくできる訳ですね。
マリネしたワインからも、トマトからもたっぷり旨味が出ているのです。
ちなみに、ワインやトマトを使った煮込みでおいしくない。水っぽくなってしまう。
ワインやトマトの酸味が残ってしまった場合は、煮込み時間が足りないことがげんいん。
ワイン、トマトは煮詰めることによって旨味が出てます。
ワインは半量くらいになるまで煮詰め、トマトは20分以上加熱すると
旨味(アミノ酸)に変わります。
冷やしてもおいしい煮込み料理
堅い肉をじっくり時間をかけて蒸し煮したドーブはゼラチンたっぷり、
冷やすとこのゼラチン質が固まって、ゼリー寄せのように食べられるところも
ドーブの魅力。おもてなしにも最適です。
煮込み料理といえど教室では夏のはじめにご紹介するレシピです。