フランス行きで何よりも楽しみなのが、バターをふんだんに使い、食べること。
軽くて香りがよくって、旨味がまして、コクが広がって、何につけてもおいしくて、幸せこの上ない。
料理だったらふんだんに使って、ソテーする。揚げる。仕上げに溶かし入れる、のせる。
朝食のカフェならパンに(塗るじゃなくて)のせて、コーヒーに、
ショコラショーに入れたりと、日本ではやらない、バター生活がはじまる。
これも日本のバターとフランスのバターの違いからか。
ヨーロッパではほとんどが発酵バター。
発酵バターとは乳酸発酵したクリームから作られるバター。
今日は、バターのことを知って、おいしいフランスのバターその謎を解いて
バターの選び方、バターによって発達したフランス料理の
バター使いとコツに触れてみましょう。
目次
バターとは
「牛乳のおいしい乳脂肪だけを取り出したもの」。
牛の生乳を遠心分離し生クリームと無脂肪牛乳に分け、
その生クリームを攪拌(チャーニング)することによって乳脂肪が集まり、
できた大きなバター粒を練り上げできる。
生乳から生クリーム、バター粒、といった工程を踏み、深いコクと香り高いが生まれるのです。
その生産性は200gの場合、生乳4.2Lが必要。というバターは生乳の貴重なおいしさのかたまりなのです。
そして、そのバターの中でも乳牛の違い、製造の違いによって、種類分されて
それぞれ風味の違いになります。。
バターの味、香りを左右させる5つ要素
発酵
バターには新鮮なクリームから作られる「非発酵バター」と
乳酸発酵したクリームから作る「発酵バター」があります。
牧畜が盛んで昔からバターを作ってきたヨーロッパでは、発酵を生かした当時の製法を受け継いでおり、
この発酵バターが主流。発酵バターにはほのかに酸味があって、香り高くコクがあるのが特長です。
ジャージー種
日本の乳牛は乳量が多くて育てやすいホルスタインが主流。だが
乳量は少ないものの脂肪分が多いジャージー種から出来上がったバターは味わいも濃く一段グレード高い。
グラスフェットバター
放牧されて牧草を食べて育った牛の生乳から作られるバター。広い土地でのんびりと生育している牛はストレスがなく、
生乳、出来上がるバターも味わい深い。日本では希少な価値。
チャーニング
クリームを攪拌し乳脂肪を衝突させて大きなバター粒を出現させる工程のことで、
昔ながらの専用機械(チャーン)で製造したバターに対してチャーニング製造、伝統造りと表示することがある。
木製のチャーンを使い、水分の抜けきらない、やわらかな味が特長。
大半の国産品はチャーンも含む一連の工程を連続式に行う「連続式製造法」で作られ品質を一定に保つに担っている。
バターの色
バターの色は牛が食べた牧草に含まれる成分=カロテンに由来し、青い草の季節と干し草の季節では色が異なり、
青い草を食べ生乳となったミルクからできたバターは色が濃い。
バターの種類
低水分バター
一般にバターに含まれる水分量15.5〜17%に対して12〜14%といった低い水分量のバターを指す。
のびがよく焼き上がりがさっくりする為、お菓子作り、パイやクロワッサン生地に向く、
食のプロからのリクエストで生まれたもの。
パリの料理学校でバターを触った時の違い、ベタつかず麺棒で伸ばせるほどの伸びと
焼き上がりの軽さは、この水分の違いと分かり、お菓子教室ではお勧めしています。
加塩バターと食塩不使用
表示のごとく塩が加わったバターは、保存性が高く賞味期限も長い。
パンに塗るなど手軽に使えるが、商品ごとに塩分が異なるのが難点。
また食塩不使用でも生乳自体に塩分が含まれている為、完全な無塩ではなく、生乳の違いも味わいに違いが出てくる。
フランスでは食塩不使用バターが一般。だが、一方バターの産地であり塩の産地でもあるブルターニュ地方では
有塩バターが主。特産のゲランドの塩が使われ、この地方に伝わるお菓子、
クレープ、クイニーアマン、ガレット・ブルトンなどはこの有塩バターで作られている。
フランス菓子といえど、都会パリで食べるお菓子と味わいに違いがある。
発酵バター
乳酸発酵したクリームからつくるバター。
国産では生産量が少なく高価だが、非発酵バターに比べてコクがある。
パンに塗っても料理に使ってもお菓子やパイ生地に使った風味は格別で
最近は「発酵バター使用」と表示されている商品もありその価値を表している。
また料理の場合、少量使うだけでも味わい深くなりシンプルにおいしい料理が作れる。
バター料理のコツ「はじめてのフランス料理より」
フランスのバター
日本とフランス、
日本が非発酵バターが主流なのに対して、フランスは発酵バターが一般。
その中でも、日本と異なる区分けがあります。
生バター Beuurre Cru
熱処理をしていないバター。生乳の乳酸菌で発酵させる昔ながらのバターで
酸味があるのが特長。フランス料理に適しているバター。
賞味期限が短く、日本での入手は難しい。
発酵バター Beurre Fermente
生乳を一度熱殺菌した後、別の乳酸菌を加えて発酵させたヨーロッパでは一般的に使われているバター。
乳牛の種類や乳酸菌の種類によって味が異なり、日本ではエシレがよく知られています。
その中でも3種の塩分違いがあります。
発酵無塩バター Beurre Doux
食塩不使用の無塩バター。フランスで一般にバターと言えばこれに当たる。
塩バター Beurre Sale
クリスタルソルト(塩)塩の粒が入ったバター。日本の有塩バターに比べて塩分が高い。
有塩バター Beurre demi sel
日本の有塩バターに違い塩分。(総量5%以下)
フランス菓子、フランス料理に使うバター、バター料理のコツ
バターによって発展したフランス料理。
バター使いをマスターすれば、フランス料理も身近、手間がかかると思われていた
お菓子、料理が失敗なくおいしく作れるようになります。
バターに空気を入れればサクサクのクッキー。
焦がすだけで素材を引き立てるフレンチソースの出来上がりです。
フランス菓子、料理の基本、5つのバターをご紹介します。
ポマード状のバター Beuure en Pommade
室温に戻しやわらかく練ったバター。
バターを生地やソースに混ぜ込んだり(ブールモンテ)
ホイップすれば空気をいれることもでき、焼き菓子はサックリ焼きあがる。
また小麦粉と混ぜて(ブールマニエ)煮汁やソースに濃度をつける調理法もある
溶かしバター Beurre Fondu
バターソースの基本。バターを溶かしたもの。
料理の仕上げにふりかけるだけでコクと風味が増し、
グラタンなど表面を焼く時にふりかけると香ばしく焼き色もついて、
おいしい料理ができます。
澄ましバター Beurre Clarifie
フランス語でBeurre Clarifie(ブールクラリフィエ)。溶かしたバターを放置し
たんぱく質や水分が下に沈殿した上澄だけを取り出した純度の高いバター。
やさしいナッツ香りときめの細かい舌触りが特長。
腐敗のもとなる水分と無油脂分が取り除かれる為、
保存性が高く常温でほぞんができ高温で熱しても焦げずきれいな焼き色に仕上がる。
日本の家庭料理でも親しまれている「ムニエル」や「じゃがいものソテー」は、
澄ましバターで時間をかけてソテーします。
乳化バター Beurre Emulsionne
ソースの仕上げにバターを入れて攪拌し、ふわふわに泡立たせた新しいバターソース。
最近のフランス料理ではバターは風味付けの役割が大きく、この手法が人気。
料理が味わい、見た目と華やかになります。
焦がしバター Beurre Noisette
フランス語でブールノワゼット。
バターがノワゼット(ヘーゼルナッツ)色になるまで火を入れて焦がしたバターで、
焦げた部分は旨味が凝縮している反面、脂は軽やか。また香ばしい香りが特長。
フィナンシェをはじめとした焼き菓子、野菜、魚、肉のソースに使われる。
レモン汁、パセリ、ケイパーを加えてつくる「グルノーブル風」ソースは、
フランス料理の定番ソースで、簡単でおいしく、教室では「はじめてのフランス料理」
で紹介している人気レシピです。
ところで、鍋にバターを入れて焦げるまで火にかけるだけの焦がしバター。
作り方で大切なのが、バターがどう変化していくかその状態を見極めること。
最初はパチパチっとバターに含まれる水分が弾けて泡立ち泡も大きいが、
泡が小さく音も無くなったら水分が無くなったということです。
次第にバターに含まれるタンパク質や糖質などの旨味成分が焦げて色づいてくる。
色づいてきたらすぐにボールにはった水や付近にのせて冷ます。
そのままだとどんどん焦げが進んでしまうから。気をつけてくださね。
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ソテー、揚げる、煮る、のせる、混ぜ込むバター料理の基本。
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